外部承継診断士とは

中小企業での外部承継の実態・知識を身につけ、
その手法や価値を社長に広めることができるスペシャリスト

外部承継診断士の使命

「中小企業のオーナー社長に、外部承継の実態を知らしめ、選択肢の一つとするために同伴をすること。『ソーシング』担当として支援すること」

図1-1 外部承継診断士の位置づけ

今後10年間を中心に日本の社会問題になりつつあることが、事業承継問題です。その解決策の1つとして期待されているのが外部承継です。

外部承継は「三方良し」と言われています。それは、社員にとっては、雇用を守り仕事の範囲やキャリアプランの選択肢が広がること。社長にとっては、借入金を引き継ぎできる、また退職金や株式譲渡代金を受け取ることで安心して引退できること。従来の取引先、仕入れ先、外注先などと継続して取引することで地域経済を維持し、しいては日本経済を存続させられるためです。

外部承継診断士としては、その企業の生産性を維持・向上させて日本の活力をつなぐための必要性や有効性を理解し、外部承継の実態を経営者に認知させ、事業承継の有効な選択肢の一つとして理解いただき、円滑に外部へ事業承継を行えるよう支援することを使命とします。

外部承継の必要性

外部承継の需要

中小企業庁が発行している中小企業白書には、中小企業数は381万者いるとされています(図1-2)。2009年から年々減少して2014年まで約39万者減少していることもわかります。

図1-2 企業規模別企業数の推移

【出典:2018年度中小企業白書(中小企業庁)】

3分の2の約240万者は事業承継が必要に

中小企業白書の年代別に見た中小企業の経営者年齢の分布によると、2018年の経営者の平均年齢は69となっている(図1-3)。また、向こう10年間では、現在の中小企業の2/3にあたる約240万者が事業承継を必要と推測されており、大事業承継の時代になると言われています。

図1-3 企業規模別企業数の推移

【出典:2019年度中小企業白書(中小企業庁)】

さらに半数にあたる、約120万者は後継者不在

中小企業白書によりと、社長年齢別に見た、後継者決定状況では、事業承継が必要となるだろう60歳以上において、約半数にあたる48.7%の企業が後継者不在と言っています(図1-4)。平均年齢が69歳ということから約120万者が後継者不在、このうちの半数にあたる約60万者は黒字企業でも後継者不在と言われています。

中小企業の廃業の急増により、2025年ごろまでの10年間累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があると言われています。こういった企業を少しでも存続させるために、外部承継を広めていきましょう。

図1-4 社長年齢別に見た、後継者決定状況

【出典: 2018年度中小企業白書(中小企業庁) 】

このような状況にあることから中小企業庁も外部承継(M&A)にも力をいれており、後継者不在の中小企業・小規模事業者の事業引継ぎを支援するため、マッチング支援を行う「事業引継ぎ支援センター」を全国47都道府県に設置しています。

中小企業者の外部承継需要のまとめ

中小企業庁が発表しており、新聞等でも広く取り上げられている、中小企業の外部承継の需要の推定値です。日本の見通しとして覚えるようにしてください。

図1-5 中小企業の外部承継の需要